ゲーミフィジャパン 枢機卿の石神です。
本日は、ボードゲームを作ろうと思い立った時に、「”人生ゲーム”風のボードゲーム」を作ろうとすることについて、思うことを書かせていただきます。
記事の主題としては否定的な意見となりますが、もちろん、具体的にはケースバイケースですので、”ゲーム製作に携わる者の一つの意見”と思っていただければと思います。
否定をする前に、肯定的な意見を先に書かせていただきます。
ボードゲームをやったことはあっても作ったことが無い方がボードゲームを作るにあたり、
「”人生ゲーム”風のボードゲーム」にすることの利点はいくつもあります。
1)ゲームのイメージがしやすい
何よりボードゲームといってもいろんなものがあり、特徴も様々ですが、”人生ゲーム”は、子供時代などでプレイした経験がある人も多く、どんなゲームかイメージしやすい。
特に、複数人でプロジェクトとしてゲームを作ろうとすれば、イメージの共有はとても大事なので、多くの人が共通してプレイしたことがあるゲームとして、”人生ゲーム”をイメージすることはとても便利です。
2)ゲームへの要素の落とし込みがやりやすい
簡単に言えば、「プラスマス」「マイナスマス」「その他イベントマス」があって、「職業」とか「家」とか「株券」などなど、それぞれどんな要素があって、それをどう置き換えたらいいかが想像しやすい。モデルがあるのは作るときにとても楽です。
結婚の代わりに何を入れようとか、職業をどうしたらいいかなど、基本となる”人生ゲーム”をもとにあれこれ考えるのは楽しいし、アイデアもたくさん浮かびます。
3)『プレイヤーも』ゲームのイメージがしやすい
ゲームを作ったところで、プレイしてもらえなければ意味がない。
そんな時、ゲームの説明として「”人生ゲーム”のようなゲームです。」はとても分かりやすい。
プレイする側も、「騙し合うゲームとか戦略が深いゲームでは無くてとっつきやすい」など、すぐにイメージしやすい。
これも、すごく大きなメリットです。
他にも、「構造がシンプルである」「時間の経過を表現しやすい」などなど、”人生ゲーム”を真似することで良い点はたくさんあります。
改めて書き出してみても、まさにこれは良いことばかりです。
まずは人生ゲーム風から始めよう、と思うのもうなづけますし、それもいいんじゃないか、
いや、むしろそこから手を付けることこそ、ハードルも低くていいのではないかと思うくらい。
なので、完全に止めたい訳ではありません。
ただ、以下の点に、気を付けてほしいのです。
1)人生ゲームは「人生」をモチーフにしていない
一番言いたいことはこれです。
正確に言うと、「人生」として想像されるイメージ全てをカバーしていません。
人生ゲームでは一般に、最終的に全てお金に換算されて、その多い少ないで勝敗が決まります。
ですが、「人生はお金がすべて」と思っている人って、むしろ少数派なのではないでしょうか?
もちろん、ゲームですから、そういうデフォルメはある訳です。
それも分かった上で作る分にはいいのですが、なんとなく、最初は分かっていてもいつの間にか「人生ゲームが人生を表しているように、今回製作するゲームのモチーフをゲームで表現しよう」と思いはじめてしまうと、おかしくなってしまいます。
例えば、地方を知ってもらいたいゲームを作っているのに、勝利条件がお金を多く持っていた人だったら、それはどういう意味になるんでしょう?その地方に行ったら儲かったり損したりするということ??
ゲームのゴールはモチーフとする内容にとってとても大事なものですし、プレイヤーのみなさんの目標です。
そこが「お金」だったり、抽象的な「得点」のようなものだともったいないです。
地方を知ってもらうなら「観光客数」とするとか、もっと飛ばして「市長になる!」とか
そういう分かりやすく面白い目標を目指して進んでいくゲームだったらいいなぁと思います。
2)情報が一部しか伝わらない
ようはスゴロクなので、止まったマスの内容しか読みません。
つまり、誰も止まらなかったマスに書かれた情報は全く伝わりません。
ゲームを作る段階ではせっかくいろいろと出し合って考えた内容なのに、無視されてしまいます。
さらに、結果がお金の+-であったりするのであれば、止まったマスの文章さえも
ほぼ読まれないかもしれません。結論が+なのかーなのか、いくらなのかの方が大事だからです。
「書いた文章で伝える」のであればボードゲームでなくてもレポートでも良いわけです。
ボードゲームの方が楽しく遊びながら読んでもらえる可能性はあるとは思いますが、結果的に、単なる文章を読ませるのではボードゲームを活用するのにもったいないと思います。
ゲームを進める上で、もしくはゲームに勝つために、知っていないと影響するような情報、気付くと勝利に近づくようなアイデア、そういうところに本当に知ってほしい内容を落とし込めると、プレイヤーが自分で入手したり考えたりしたことで心に刺さる可能性が高まります。
3)選択できない/運がすべて
人生ゲーム風のゲームでは、プレイヤーの自主的な選択が出来ないことが多いです。
ルーレットの指示に従って進めて行くだけ。
それはそれで、”追体験する”ことになるとは思いますが、どうしても自分で考えたりしないので”実体験”にはなりません。
ゲームの大事なポイントは、普通には出来ないことを”体験”出来る事です。
強制的に流していくのではなくて、感情移入して”体験”出来るものになったらいいなぁと思います。
でも、人生ゲームで職業が自由に選べたりしたら、イベントを選択できるとしたら、有利不利が明らか過ぎてゲームにならないでしょう。
ルーレットで自動的に進むがゆえに分かりやすい有利不利が設定されています。
そこにジレンマがほとんど無いのです。
これらのように、「人生ゲーム風にしよう」という考え方は、
「ボードゲームを作ろう!」と思い立ったところから、分かりやすく一歩進めるための一つの手段ではありますが、その結果として、当初のゲームを作ろうとした目的から、大事な部分が抜け落ちやすくなってしまうものでもあります。
また、前に一気に進んだ結果として、ぐっと可能性も狭まってしまいます。
では、それを補うようなものを後で追加すればよいかというと、既に完成されたゲームのシステムに単に何かを加えることは、「面倒な手順が増えたり複雑になる」「バランスがおかしくなる」などの問題を引き起こします。
そこまで来てしまうと、もうどこからやり直したらよいか分からなくなってしまいます。
ボードゲームを作るプロジェクト自体の存続の危機にもなりかねません。
だから、どんなゲームシステムにするかを考える前に、もう少し、「どんなことを伝えたいか」「どんな風に気付いてほしいか」などを考えてから、それに合ったゲームシステムを導入してくれたらなぁと思います。
とても難易度が高いことですが、そこが出来ることで、ゲームへのメッセージ性はぐっと高まります。
そして、そんなゲーム作りのメソッドを、ゲーミフィジャパンでは開発しています。
ゲームの作り方はいろいろあり、何が正解というのはありませんが、我々と一緒にゲームを開発することで、「一番伝えたいこと」が「プレイヤーの心に刺さる」ようなゲームを作ることが出来ます。
100%想いをゲーム化できるメソッドを是非体感いただいて、貴方の想いを世に伝えるご協力をさせていただきたいです。
最後は、宣伝でした。
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